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「このままじゃ、ダメだな」——大事故からの生還を機に最短で中小企業診断士になった、佐藤代表の起点と機転

株式会社Result

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佐藤 勇樹代表取締役

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プロフィール

佐藤 勇樹(さとう・ゆうき)
株式会社リザルト 代表取締役。中小企業診断士。認定支援機関として、中小企業の補助金・融資といった資金調達支援を手がける。事業計画書の策定支援を軸に、近年は補助金コンサルタントを育てる養成講座事業も展開している。

「計画書が書けない」を、隣で支える

株式会社リザルトが手がけるのは、中小企業の資金調達支援だ。補助金や融資——会社を前に進めるために欠かせない資金。だが、その入り口には必ず「事業計画書」という壁が立ちはだかる。

補助金も融資も、事業計画書を出さなければ始まらない。本来は経営者自身が主体となって書くべきものだが、と佐藤さんは言う。

「社長さんって、普段から事業計画書を作るわけではないので。みなさん、すごく苦手なんですよね」

数字を並べ、未来を言葉にする。日々現場を回す経営者にとって、それは想像以上に重い作業だ。佐藤さんはその隣に立ち、計画書を形にし、採択へと導いてきた。たくさんの相談と紹介をもらいながら、支援の実績を地道に積み重ねている。

その姿勢の根っこには、補助金そのものへの興味から始まったわけではない、ひとつの大きな出来事がある。

起点——目を覚ました病室で

意外なことに、佐藤さんは「補助金がやりたくて」この道に入ったわけではない。原点をたどると、一台のバイクに行き着く。

大学時代の佐藤さんは、本人いわく「チャランポラン」だった。勉強らしい勉強はせず、遊ぶことで頭がいっぱい。アルバイトでお金を貯めては、好きなバイクに乗る——そんな日々だった。

その日も、アルバイトへ向かう途中だった。乗っていたアメリカンバイクがタクシーと正面衝突し、反対車線まで投げ出された。頭部や右半身を中心に大きな傷を負う、命に関わる大事故だった。

そして、約一週間。佐藤さんの意識は戻らなかった。

「最初は意識も朦朧としていて、自分が事故にあったことすら覚えていなかったんです」

目を覚ました病室で、佐藤さんが見たのは、泣いている母親と祖母の姿だった。何が起きたのかはわからない。けれど、自分が二人をこんなにも悲しませてしまった——その事実だけは、はっきりと伝わってきた。

「このまま人生、ダメになる。漠然と、そう思ったんです」

ベッドの上で、佐藤さんは初めて自分の人生と正面から向き合った。泣いている母と祖母に、どうにか報いたい。見返したい。そう考えたとき、ひとつの答えにたどり着く。

「お金持ちになれば、何か返せるんじゃないか。じゃあ、社長になればいいのかなって」

そこからの回復は、本人も驚くほどだった。一時は歩けなくなるかもしれないとさえ言われた状態から、いまでは事故の痕跡を感じさせないほどに立ち直っている。再起の物語は、この病室から静かに始まった。

最短で駆け上がった、中小企業診断士

「ちょっと、勉強に戻ってみるか」——退院後の佐藤さんがそう思って選んだのが、中小企業診断士という国家資格だった。経営を学ぶなら、ここだと思った。

ここからの動きが速い。中小企業診断士は、一次・二次試験の突破まで五年、六年とかける人も珍しくない難関だ。ところが佐藤さんは、一年もかけずに駆け抜けた。

一次試験は一発合格。そして二次試験——。実は佐藤さんが通っていた大学は、中小企業診断士の養成課程を持つ大学院の附属校だった。当時、関東でその養成コースを備えた大学・大学院は、わずか五校ほどしかなかったという。

「一次は在学中に取って、二次はそのままエスカレーター式で、大学院で取得できたんです」

大学生という時間のすべてを、ここに投資した。起業前にいちばん苦労したことは、と尋ねると、迷わずこの資格取得を挙げる。逆に言えば、佐藤さんにとっての苦労は、ほとんどここに凝縮されていた。

もっとも、資格がそのまま実務に直結したわけではない、とも正直に語る。

「中小企業診断士の資格で、実際に実践で使えた知識って、正直10%くらいかもしれません」

それでも、経営とは何かを体系的に学んだ土台は、その後の佐藤さんを確かに支えていくことになる。

機転——「先生」になるという、発想の転換

事業を続けるなかで、佐藤さんは大きな方向転換を二度経験している。

ひとつは、補助金コンサルタントの養成講座という、まったく新しい柱を立てたことだ。自分たちが培ってきた補助金・融資のノウハウそのものを、「教える」ビジネスへと変えた。同業でこれに取り組む人がまだいなかった頃の、早い決断だった。

きっかけは、ふたつあった。ひとつは、若さゆえの悔しさだ。

「正直に言うと、僕は若すぎて、けっこう舐められていたんです」

経験の浅い経営者として見られ、計画書の修正を頼んでも「俺には俺のやり方がある」と取り合ってもらえない。レスポンスを早めてほしいと伝えても、なかなか動いてもらえない。ならば——と佐藤さんは発想を切り替えた。

「自分が"先生"というポジションになってしまえば、ちゃんと聞いてくれるだろうな、と」

立場を変えれば、伝わり方が変わる。同じ人間でも、扱われ方が変わる。その読みは、見事に当たった。

もうひとつの理由は、市場の側にあった。当時、佐藤さんが調べたデータでは、行政書士をはじめとする士業の多くが、決して高いとは言えない年収にとどまっていた。資格は持っていても、稼ぎ方がわからない——そんな層が、確かに存在していた。

一方で、補助金支援は当時、しっかり稼げる領域だった。そこで佐藤さんは、「補助金コンサルタントになって、年収を大きく引き上げよう」というメッセージを、士業の人たちに向けて打ち出した。これが、深く刺さった。

「その時々で、ニーズって変わってくるじゃないですか。それをうまく捉えられたのかなと思います」

「採択して終わり」を、やめる

そしてもうひとつの転換が、いままさに進行している。スポット支援から、継続支援へ。

きっかけは、佐藤さん自身の失敗経験だった。

「補助金が採択されても、その後の事業がうまくいかないお客さんが、けっこういらっしゃったんです」

着手金をもらい、採択されたら成功報酬を受け取って、そこで支援は終わり——。補助金を主軸に据えれば、どうしても「採択」がゴールになってしまう。営業も成功報酬で動くため、なおさらだ。だが、それでは顧客の事業そのものは前に進まない。佐藤さんは、そのことに気づいてしまった。

だからいま、リザルトは顧問契約という形へと舵を切っている。補助金のサポートはもちろん、資金繰りまで継続的に並走する。一度きりの支援ではなく、ずっと相談できる存在へ。

「採択がゴールじゃない。お客さんの事業が続いていくところまで、一緒に走りたいんです」

失敗を直視し、ビジネスモデルそのものを書き換える。その柔軟さこそが、佐藤さんの強みなのかもしれない。

仕事と人生の、境界線

経営者として大切にしていることを尋ねると、佐藤さんの答えはとてもシンプルだった。何より、仕事が好きなのだ。

「もう、ずっと仕事してます。あんまり境い目がない感じですね」

自宅兼事務所という環境もあって、やろうと思えばいつでも仕事ができる。むしろ、やっていないと落ち着かないという。

「パソコンが相棒みたいなもので。手元にないと、ちょっと不安になっちゃうんです」

あの病室で芽生えた「このままではいけない」という思いは、形を変えていまも佐藤さんを動かし続けている。立ち止まらないこと。動き続けること。それが、彼の生き方そのものになっている。

ビジョン——年商一億の、その先へ

率直な人だ。順風満帆に歩んできたほうだと語る一方で、思い描いた通りにいかなかったことも、隠さず明かす。

「三十代のうちに年商一億を突破したかったんですけど、そこはまだ届いていなくて。正直、想像とは違いました」

それでも歩みを止めるつもりはない。これからのリザルトが向かうのは、「採択して終わり」ではなく、顧客と長く並走する継続支援のモデルだ。補助金、融資、資金繰り——会社の資金にまつわるあらゆる場面で、頼れる存在であり続ける。

一度の支援で終わる関係ではなく、事業の成長をずっと隣で見届ける関係へ。その地図は、もう佐藤さんの中で描かれている。

挑戦する人へ——「勉強する前に、動く」

最後に、これから挑戦する人——とりわけ、資格を取ったばかりの人へのメッセージをもらった。

実は佐藤さん自身、資格を取った直後に強い「燃え尽き」を経験している。中小企業診断士を取るまでは必死だった。けれど、登録通知が届いたその瞬間が喜びのピークで、その先がわからなくなった。

「資格を取ったはいいけど、どうやってお金を稼げばいいのか、どうやってお客さんを取ればいいのか。わからない人って、きっと多いと思うんです」

そんな佐藤さんが、かつての自分のような人に伝えたいことがある。

不安から、彼はとにかく学び続けた。講座への投資は、総額で一千五百万円ほど。補助金はもちろん、占い師の資格やM&Aまで——分野を問わず、片っ端から学んだ。「これだけ勉強すれば支援できるはず」と思い込んでいた。

だが、あるとき気づく。

「ある時から、勉強する前に行動するようにしたんです。そしたら意外と、ちゃんと契約も取れるし、支援もできる。わからないことがあったら、その時に専門の人と組めばいいんだなって」

知識を完璧に揃えてから動くのではなく、動きながら学んでいく。

「勉強ばっかりしないで。まず、行動する。それを心がけてもらえると、いいんじゃないかなと思います」

かつて病室で人生をやり直すと決めた青年は、いま、走りながら学び続けている。その姿そのものが、何よりのメッセージなのかもしれない。

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